Catalyst9000シリーズ IOS-XE Version 17.8.1からTelecom PTP Profileが新たにサポートとなりました。
いざ調べてみると様々な制限があり、実環境への実装には少し注意が必要となりそうなので纏めておきたいと思います。
このサイト内の絵も綺麗にまとめられているのでリンクとして拝借させていただいております。
Telecom Profileに対応するCatalyst9000シリーズ
以下のシリーズにてTelecom PTP Profileをサポートします。
- Catalyst9300シリーズ
- Catalyst9400シリーズ
- Catalyst9500シリーズ
- Catalyst9600シリーズ
残念ながらCatalyst9200シリーズはサポート外となりますので注意してください。
新たにサポートされたTelecom PTP Profile
上記にもCatalyst9300のRelease Notesのリンクを貼り付けていますが、その中を見てみると、
G8275.x Timing Profile
Introduces G8275.1 telecom profile for accurate delivery of phase and time synchronization. The G8275.1 specifies a profile for telecommunication applications based on IEEE 1588 PTP.
と書かれています。
Telecom PTP Profileには複数のProfileが定義されています。
- G8275.1:Ethernet(L2)を利用してPTPを伝搬
- G8275.2:IP(L3)を利用してPTPを伝搬
ざっくりとまとめると、G8275.1はL2の仕組みとなっていますので、PTPを有効化したい全てのNW機器でPTPを有効化にする必要があります。一方でG8275.2はIP(L3)の仕組みとなりますので、G8275.1と違って全てのNW機器でPTPを有効にする必要がありません。
Catalyst9000シリーズにおけるTelecom PTP ProfileはG8275.1のみのサポートとなりますので注意が必要です。
PTPに関しては下記サイトが良くまとまっています。
Telecom PTP Profile利用における制限
上記の通り、G8275.1のみのサポートとなりますので、それを注意しながら実NWでデザインを行なっていくのですが多くの制限がありますので代表的なところをまとめておきたいと思います。IOS-XE 17.9のConfiguration Guideをベースに記載しております。これ以前のVersionにおいては、より多くの制限がありますので使われる予定のSoftwareのConfiguration Guideを参照してください。
C9300-48UN、C9300-48UXMではPTPを有効できるInterfaceに注意
48UXM:最初の16ダウンリンクと全てのアップリンク
48UN:最初の36ダウンリンクと全てのアップリンク
PTP Transparent Clock ModeではInter-VLANはサポートされない
「ptp profile 8275.1 clock-mode transparent」で設定した場合、VLANを跨いだPTPの伝搬は出来ないと読み取れます。
G8275.1においてはPTPパケットを透過(Transparent)させる必要なく、Boundaryで設定しても問題ない(未検証)と思いますので、それほど問題では無いか?とは思います。
Two-Step Clockモードのみをサポート
PTPでクロックを伝搬させるにはProfileとは別にOne-Step ClockモードとTwo-Step Clockモードが存在します。
Catalyst9000シリーズではTwo-Step Clockモードのみのサポートとなりますので注意が必要です。
IPv6およびVRFは未サポート
こちらに関しても詳細な検証が必要になると思います。
IPv6を有効にしただけで未サポートとなるのか?
それともこれは他のPTP Profileに関する制限であって、元々L2で動作するG8275.1にどう影響するのか(しないのか)?
Boundaryモードで動作している場合でもVRF跨ぎはNGなのか(多分これはNG)?
等デザイン上の注意が必要となるポイントかもしれません。
8台のStack構成の場合パフォーマンスが落ちる可能性がある。
これはCatalyst9300シリーズでの制限ですね。8台のStack構成は中々無いとは思いますが、組まれている方は注意が必要です。
詳細は下記Configuration Guideを参照してください。
まとめ
Local 5G等キャンパスネットワーク等においても高精度なクロックの提供の必要性が高まってきています。そのためにはNetwork全体でTelecom PTP Profileの有効化が必要となってくるのですがCatalyst9000シリーズでは多くの制限が存在するため、事前にデザイン上の問題点の洗い出しが必要となりこの記事を作成しました。
現状ではConfiguration Guideの文言を抜き出しただけで技術検証を行ってはいませんがどこかのタイミングで詳細検証版の記事を投稿できればとは思っています。