無線LAN新規格Wi-fi 6Eについて

2022年9月に総務省が新たに無線LANで利用可能とする6GHzの利用認可を行いました。
6GHz帯を対応とするWi-fi 6Eに関しても簡単にまとめておきます。

 

Wi-fi 6(IEEE802.11ax)の課題

Wi-fi 6Eが出てくるまでは2.4GHzと5GHzの周波数が使われており、それぞれ20MHzのチャンネル幅で利用する場合、

  • 2.4GHz : 3

  • 5GHz(W52) : 4
  • 5GHz(W53) : 4
  • 5GHz(W56) : 12

が干渉を起こさずに利用可能となっていました。

2.4GHzはBluetoothや電子レンジ等様々なデバイスやノイズが多く発生する周波数帯域となっていますので、特別な理由がない限り2022年現在では積極的には利用されておりません。
5GHzにおいては合計20チャンネルの確保が可能となっていますが、W53、W56はレーダーと干渉した場合にAPからの電波出力を停止するDFSと呼ばれる仕組みが必須となっており手放しで利用できるというわけではありません。
また、Wi-fi 6の最大パフォーマンスを発揮させたい場合にはDefaultの20MHzのチャンネル幅で利用するのではなく、40MHz、80MHz等の設定が必要になります。
そのような場合、10チャンネル(40MHz)、5チャンネル(80MHz)と同時利用可能チャンネルが減ってくるためオフィスで複数のAPを設置する場合においては電波を干渉させないようにすることが難しくなってしまうのが悩みとなります。

 

6GHzの開放

これまでのWi-fi 6の課題を克服するために6GHzを新たに利用可能としそれをWi-fi 6E(Extended)として新たに規格されました。
国により解放された周波数が異なりますが、日本においては欧州と同じ24チャンネル分が利用可能となりました。

この6GHzは5GHzでの課題出会ったDFSの実装は必要無く、5GHzと合わせると20MHzのチャンネル幅であれば44チャンネルの利用が可能なったのです。

 

Wi-fi 6E

上記の通り、Wi-fi 6EはWi-fi 6から6GHzが利用可能としたものです。
ですので規格としてのパフォーマンスはWi-fi 6と全く同じとなります。
特にコンシューマー製品のHPでは一般消費者を混乱させるような記述が多くされており、Wi-fi 6E製品はあたかもハイパフォーマンスであるかのように書かれています。
一字一句逃さずに読むと、間違った記載はされていないのですが派手なグラフやイメージで表されているので勘違いしがちな書き方となっているケースが多いようです。

 

Wi-fi 6E対応AP

6GHzに対応した無線Access Pointのリリースが開始となっています。
これらの多くはこれまでの2.4GHzと5GHz(W52、W53、W56)に新たに6GHzの無線インターフェースを搭載し、クライアントが利用できるインターフェースが合計3つとなりました。
5GHzと6GHzは排他利用では無く、同時利用が可能となるということがポイントとなります。

一般家庭用APにおいては5GHzと6GHzの同時利用におけるメリットはあまり無いと思います。
6GHzの恩恵があるのはやはりオフィス用途が主であると言い切っても良いでしょう。
ですので、現在Wi-fi 6対応APをご自宅で利用されておりパフォーマンスアップのためだけにWi-fi 6E製品への買い替えは必要ないということになります。

また6GHzにおいては2022年現在対応したデバイスの種類は多く無く、APで6GHzを有効にしたとしても直ぐにはそのメリットが得られるということも少ないと思います。

 

まとめ

Wi-fi 6Eはこれまでの2.4GHzと5GHzとの関係に加え6GHzの第3の無線インターフェースの利用が可能となります。

バイス側の対応の課題はありますが、5GHzと6GHzで分散させることにより1台のAPにアソシエートさせる端末を増やすことが可能となり高密度な無線LAN環境を構築することが可能となり、また干渉しない5GHzのチャンネルが不足している場合にはより簡単に無線LANのチャンネル設計が可能になるでしょう。