一般に販売されているWi-fi 6に対応したブロードバンドルーターや、企業向けに販売されている無線アクセスポイントで書かれているWi-fi 6のスループット値についてまとめたいと思います。
カタログスペックとして決して間違った記載はされていないのですが、技術的によく知ってないと実際のWi-fiのスピードは「カタログスペックの数値が全然出ないじゃないか!」となってしまいます。
カタログスペックの数値に関して
Baffalo社のWi-fi6ルーターである、WXR-6000AX12Sを例に上げて説明します。
Baffaloのサイトを見てみると、このAPは5GHzでは最大4,803Mbpsのパフォーマンスを持つことが分かります。
この4,803Mbpsという数値はどこから出てきた数値なのでしょうか?
下記サイトに簡潔にまとめられています。
4,803Mbpsというのは80MHzのチャンネル幅で8空間ストリームの場合の数値だということが分かります。
このWXR-6000AX12Sというのは80MHzの設定で8x8:8のアンテナ性能を持っているということですね。
更に倍の160MHzのチャンネル幅(チャネル・ボンディング)の設定が可能なAPであれば、9.6Gbpsのスループットが最大値としてカタログスペックとして記載されるという訳です。
実環境でそのスペックは発揮できるのか?
答えとしてはYesでありNoです。
上記の例で言うと(当たり前ではありますが)80MHzのチャンネル幅設定が可能な環境で8空間ストリームをサポートしている端末があれば、それに近いスピードは出るかもしれません(実際には無線のオーバヘッド等があるので実スループットは落ちるのですが、今日の記事ではそれは割愛します)。
実際に利用される端末は2もしくは3空間ストリームである場合が多いので、1端末における最大スピードは1.2Gbpもしくは1.8Gbps止まりと言うことになります。
APのスペックとしてはMU-MIMO等により2空間ストリームサポートの端末との通信の場合、同時に4端末との通信が可能になるのでトータルで4.8Gbpsが使えるということにもなります。
個人宅では同時に多数の端末からのトラフィックが大量に流れるというのはレアケースだと思いますので結果としてこのスペックを発揮する場合はほぼ無いと言うことになってしまいますね。
オフィス用途だと同時に大量のトラフィックが流れるというケースは多くあると思います。
オフィスだとそれで良いのか?と言うと別の問題が出てきます。それはチェンネル幅の問題です。
80MHzのチャンネル幅の場合、4つのチャンネル(20MHz x 4)を束ねて利用することになります。
一定規模のオフィスの場合複数の無線Access Point(AP)を設置してそれぞれのAPが利用するチャンネルの設計を行う必要があるのですが、80MHzの設定をすると同時に使えるAPの数が激減してしまうのです。
ですので、オフィスにおけるチャンネルの設計においてはデフォルトの20MHzを利用したり、良くても40MHz止まりということが多いと思います。
その場合、8x8:8のAPでは最大2.3Gbpsとなり、2空間ストリームに対応した端末単位では573Mbpsまでとなります。
更に上記の数値というのはAPとクライアントがベストな通信環境がある場合のものとなります。実際にはAPと端末との距離が離れている等で、その数値がそのまま利用可能で無いということも理解しておく必要があります。
まとめ
今回はBaffalo社の無線ルーターを例として説明をしましたが、決してBaffalo社のHPに記載されている数値が間違っているとかそういったことを言いたいわけではありません。
あくまでもIEEE802.11の規格に則った数値を記載しているだけですので、実環境における無線APのパフォーマンスに関しては設定内容や利用端末の状況に応じて事前に確認しておく必要があります。
ただ、あたかも8x8に対応したスマホが一般的なような説明がされているのは少しどうかな?とは思いますが。。(でも間違った図でも無い)


